法律知識に詳しい専門家に意見を聞いてトラブルを解決

トラブル解決の代表例は訴訟ですが、解決例の多くは示談によるものです

トラブルが生じた場合、まず、何が問題の本質であるのかを検討する必要があります。そのためには、自分にはどういった権利や義務があり、また相手にもどういう権利と義務があるのかを知っておく必要があります。

しかし、ひとくちに権利や義務といっても、日頃は縁のない法律上の問題であり、素人ではなかなか調べることが難しい場合もあります。法律相談所の専門家に相談することによって、そうした知識を得ることができます。

法律相談所には、大きく分けて、@弁護士会が行うもの、A国や都道府県などの自治体が行うもの、Bそのほかの機関が行うもの、などがあります。いずれも、弁護士などの専門化が相談に当たりますが、相談だけではなく、仲裁や斡旋を行っている機関もあります。

近年、民事紛争は増加の一途をたどっています。トラブル解決の代表例は訴訟ですが、解決例の多くは示談によっています。
訴訟のメリットは判決に基づく強制執行ができる点です。一方デメリットは、多くの時間や費用がかかる上、相手に資力がない場合には、仮に勝訴となっても執行が空振りに終わることがあります。医師の診断や手術ミスにおける医療事故を訴える医療訴訟などで、医療機関に比べて、専門知識に乏しい患者やその遺族に求めれる労力は大変なものがありますし、病院の閉鎖性、認容率の低さなども大きなハードルとなっています。

そこで最近は費用が安くて早い、裁判外紛争解決手続き(ADR)機関による斡旋や仲裁によって、迅速にトラブルを解決しようという動きが出てきています。ADRは、各種の機関が運営しており、多種多様ですが、現在、多くの人が利用しています。

ただし、仲裁の裁定がなされると、原則としてそれに従わなければならず、裁判の判決と同様の効果を持つことになります。また、原則として、訴訟をすることができなくなるので注意が必要です。

法律の専門家である弁護士に相談する場合

法律の専門家には、弁護士、司法書士、行政書士などがあります。また、特別な分野の法律の専門家としては、税務関係等の公認会計士、税理士、特許関係の弁理士、社会保険関係の社会保険労務士などがあります。

こうした専門家のなかで、訴訟を業務と出来るのは弁護士と、司法書士(簡易裁判所の事件のみ)です。行政書士は以来を受けて裁判官形の書類を書くことはできますが、訴訟そのものを行なうことはできません。

したがって、訴訟についての相談や以来は通常、弁護士が行うことになりますが、訴訟で不動産の鑑定が必要な場合には、不動産鑑定士に依頼するなど、他の専門家が関与する場合も少なくありません。。

自分の事件の代理人となる弁護士への相談・依頼は、知り合いや身内にいればその弁護士に依頼するのが、信頼度や気軽に話せるという点では一番よいでしょう。こうした人が身近にいるというのは稀なケースと思いますので、通常は弁護士会の相談センターや都道府県の相談所を利用し、これはと思う人に相談、依頼するとよいでしょう。

ただし、弁護士といっても考え方や人生観はさまざまですので、信頼できるかどうか、どれだけ親身になってくれるかなどを選択の基準とすればよいでしょう。費用には一応基準が設けられていますが、弁護士によって相談料は異なるので、事前に聞いておくようにしましょう。弁護士報酬規定は平成16年4月1日に廃止され、各弁護士が定めることになりましたので、必ず事前に話し合ってください。

弁護士に相談する際には、ご自身が抱えているトラブルを自分に都合の悪い点も含めて、なにもかも包み隠さず話すようにします。相手にも弁護士がいる以上、こちらが何かを隠していても、向こうはその点をついてきます。弁護士に全てを打ち明けられないようでは、訴訟に勝つことは困難になります。

自分の意見をしっかり述べることは大切ですが、弁護士が「法律の解釈上、その点は○×なっている。」と説明しても、自分の主張が正しいといって主張を譲らず、法律のほうに問題があるという人も中にはいます。弁護士はあくまでも法律に照らしてどうなるのかを判断するのであり、相談者の主張だけを聞いているのではないので注意しましょう。

弁護士会の法律相談センターは各都道府県に1箇所以上あり、金銭トラブル、借地・借家問題、相続、遺言、離婚、クレジット・サラ金、不動産売買、医療事故、労働問題、民事暴力介入、刑事事件など、あらゆる法律相談に応じてくれます。トラブルは長期化するほど解決が困難になる要素をはらんでいます。問題が大きくなる前に、相談するのが最善です。

相談は、各地の弁護士会所属の弁護士が当たり、通常は弁護士会館の中の一室で行われます(事前に電話等で連絡が必要)。相談は通常30分ですので、要領よく質問するために、紛争の要点などを整理して、質問事項はメモしておきましょう。なお、相談は原則として有料でとなっており、相談料は30分で2500円です。

法テラス(日本司法支援センター)の活用

平成16年、全国どこにいても法による紛争解決に必要な情報やサービスが受けられる社会作りを目的に「総合法律支援法」が制定されました。この法律によって設立されたのが、日本司法支援センター(通称:法テラス)です。

法テラスは独立行政法人型で、最高裁判所が運営に関与する法人として発足し、多くの人が利用しています。法テラスの業務の概要は以下の通りです。

@情報の提供…紛争の解決に役立つ法制度の紹介がなされています。また、法律サービスを提供する関係機関等の情報を集約して、無料で提供されています。なお、個々のトラブルについて法律判断がなされることはなく、解決方法や相談先の情報が提供されるだけです。

A民事法律扶助…まず、資力の乏しく法律相談が必要な人に対して、弁護士・司法書士による無料法律相談を行っています。また、裁判や調停、交渉などで専門家の代理が必要な場合に、弁護士・司法書士を紹介して、その費用の立替を行います(審査あり)。

さらに、自分で裁判を起こす場合に、裁判所に提出する書類の作成を行う弁護士・司法書士を紹介し、その費用を立て替えます。これらの援助は、あくまでも立替ですので、契約に従って返済する必要があります。その他の業務としては、犯罪被害者の支援や国選弁護士の確保業務などがあります。

法テラスは、コールセンターを設けて、全国から問い合わせに応じています。ここでは、紛争解決手続きや解決機関の照会などの業務が行われています。個別の紛争について、法律的にどうなるのかなどの、相談に応じるものではありませんが、電話をすれば、解決の糸口が見つかるはずです。また、民事法律扶助を受けたい場合も、まず、相談してみてください。

 
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